🌎レシートからCO2排出量を算出するアプリで簡単にカーボンオフセットができる...!?
04/26 bility newsletter
🤔今日のニュースレターは…?
二酸化炭素量をレシートから探知するアプリ(3min read)
ラルフローレンの衣類サブスクサービス(2min read)
ビットコインのCo2排出を減らすためのSquare新事業(3min read)
4月22日、菅首相が新たな温室効果ガスの削減目標について、「2030年度までに2013年度比で46%削減する」と表明したことはニュースにも多く取り上げられていた。しかし、Climate Action Teackerによると、少なくとも50%、そして理想的には62%以上を削減目標にしないと日本は世界基準に追いつかないと指摘されている。アメリカ主催の気候変動サミットに際して、このような方針についてのニュースが取り上げられることで、政府だけでなく、一般社会人の気候変動への意識がどんどん高まっている。
気候変動のアクションとなると、CO2排出量は目に見える指標として重要なポイントになってくる。企業でもカーボンオフセットの取り組みは必須になってきている。今回は個人のカーボンオフセットに関するアプリから企業の取り組みを見ていきたい。
💭レシートを撮ってCO2排出量を記録する。カーボンオフセットもワンタッチでできるアプリ(3min)
■ Basically...
Evoccoというアプリでは、スーパーで購入した商品のCO2排出量を計算してくれ、自分が排出した分を植林を通じてオフセットできる。
■In details,
イギリスとアイルランドで利用可能なEvoccoというアプリは、レシートを撮影することで、購入した食品の気候への影響をチェックすることができる。店舗の場所に基づいて、食品の種類・量・産地をチェックしCO2排出量を計算するものだ。CO2排出量に加え、食品の栄養価も合わせて評価を教えてくれるアプリとなっていて、通常のライフスタイル関連のアプリに自然と気候変動の要素が入っている。
(公式HPより)
カーボンオフセットへのアクションもアプリからワンタッチで可能だ。非営利組織Go Carbon Neutralへの寄付を通して、植林を行う仕組みになっている。
スーパーで買い物をする時、ラベルや生産地でなんとなく自然環境へのインパクトを判断するよりも、アプリで簡単に数値をチェックできれば、ゲーム感覚でちょっとずつ自分の意識と行動を変えることができるかもしれない。このような機能について、マスターカードがカーボンフットプリントを計算する銀行向けツールを発表するなど、アプリにとどまらず導入例は今後も増えていきそう。
サービスが増えていく中で差別化するには、CO2排出量を見える化+相殺する仕組み+αの習慣化する工夫が必要だろう。今回紹介したEvoccoは、栄養価とCO2排出量を掛け合わせて評価することで、健康と環境の両方に気をかける工夫がなされている。
■ bilityの考え
商品のCO2排出量を完全に把握できているのだろうか?相殺すれば好きに行動していいのか?などといった意見も存在する中、類似サービスも含め、ユーザーが自分の行動を再考・改善するシステムが備わっているかは重要な指標になりそうだ。
他に日本でも使えるeevieというアプリが存在する。CO2のトラッキング機能やカーボンオフセットなど、CO2削減を習慣化するサービスとなっている。日本語対応していないが、日本でも今後類似サービスは増えていくかもしれない。
💐ラルフローレンのサブスクサービスや排水ゼロの染色技術の開発(2min)
■ Basically...
アメリカのラルフローレンが始めたサブスクサービス”The Lauren Look”では、月額125ドルから新作のコレクションをレンタルでき、返品か新品購入か選択できる。着用上限に達したものは貧困層に洋服を提供する非営利団体DeliveringGoodに寄付される仕組みとなっている。
■ In details,
また、ラルフローレンは生産についても”Color on Demand”という取り組みが注目されている。染色工程で発生する水をリサイクルし排水ゼロにするシステムで、世界最大級の化学メーカーDowとの共同開発によるものだ。(実は洋服の生産プロセスで使用する水の85%が染色で使われ、1キロの繊維を染めるのに100〜150リットルの水が必要といわれている!)2025年までに英国のファッションブランドが無地のコットン染色製品の80%をこの新システムで作ることを目指している。
ラルフローレンは、生物多様性の回復と地球の海の保護のために協力しているファッションリーダーのグループであるG7 Fashion Pactに参加している。最近では、環境保護を推進することを目的とした「Design the Change」戦略を立ち上げた。また、「We Are Still In」宣言や国連の「Fashion Industry Charter for Climate Action」に署名し、パリ協定の目標に沿って排出量を削減することを約束している。今後も環境に対して積極的なラルフローレンの動きに注目していきたい。
(公式HPより)
■ bilityの考え
短いサイクルで洋服を消費しがちな現代。環境に配慮した消費ができるシェアリングエコノミーのサービスをハイブランドが率先して行うのは良い傾向だろう。ビジネスとして、「販売」と「シェア」の売り上げのギャップや、今後どのような位置付けで両ビジネスを展開していく予定であるのか、気になるところではある。
今後は、ラルフローレンのような一つのブランドとしての先進的な仕組みではなく、ファッション業界全体のシステムとすることで効率性も利用率も上がるのではないか?服を買うというところからシェアし合うというシフトに期待が高まる。
⚡Square:事業会社設立 ビットコインマイニングによる電力を再生可能エネルギーの移行を支援(3min)
■ Basically...
ビットコインのマイニングが膨大な電力を消費すると危惧されているが、コミュニティ決済サービスを提供するSquareはそれを逆手に取り、再生可能エネルギーへの転換を後押しする機会になる、という内容の白書を発表した。それに伴い、ビットコインマイニングを扱う企業のクリーンエネルギーへの転換を支援する事業をローンチした。
■ In details,
ビットコインのマイニングとは、いわば貨幣取引記録を取引台帳に記録していく作業である。その作業は複雑な数学的処理をハイスピードでこなす必要があるため、膨大な量の電力が必要になる。ある研究によると、それはイタリアの一年間の電力消費量、チェコの一年間のCo2消費量と同じであることが分かった。また、高騰する電気代をできるだけ安く押さえるために、電気代の安い中国や石炭ベースの電気が利用されることが多い中、使用する電気会社などを規制することは現実的ではないだろう。
今まではビットコインのマイニングを如何にして規制するのかが問題の焦点になる事が多かったが、Square and Arkが出したレポートは、ビットコインはむしろ「再生可能エネルギーへの転換を後押しする機会になる」、と結論づけた。さらに、テスラのCEOイーロン・マスクや、SquareのCEOであるジャック・ドーシーらも、「ビットコインはグリーンなエネルギー消費に拍車をかけるだろう」とコメントしている。
Twitterより
ビットコインの電力消費の未来について対立する論争が巻き起こる中、Squareは2030年までにネットゼロとすることを表明、さらにビットコインマイニングに関する活動において再生可能エネルギーの活用を希望する企業を支援する組織の設立”Bitcoin Clean Energy Investment Initiative”も発表した。Watershedという環境プログラムとも連携し、10億ものお金をクリーンエネルギーに切り替えようとしている企業へのサポートに使うという。
■ bilityの考え
今回注目したのは、「自社だけがカーボンオフセットすることではなく、業界全体の再生可能エネルギーへの転換をサポートすることである」というSquareの想いを形にするような事業内容。コア事業が二酸化炭素を排出しているわけではないが、Squareのようにネットゼロ宣言をするだけでなく、事業全体を通してネットゼロへ取り組みを発表、その後事業会社まで設立したのは、かなりvisionaryだといえそう。とはいえ、そもそもマイニングによる電力消費量の多さは計り知れないくらい膨大なことは事実。クリーンエネルギー転換を促進して、現在発電されているクリーンな電力を食いつぶしてしまう、という推算もあるほど(笑)この一連の動きを通して、他金融系企業がどのようなリアクションをとるのか…引き続き注目していきたい。
(Forbes)
(WIRED)
今回は個人でできる気候変動に向けた取り組み、企業での先進的な取り組みを紹介した。このように企業がサステナ領域で新規事業を打ち出したり、ネットゼロを宣言する度に、先進事例としてメディアに大きく取り上げられることもある。だが、先の4月22日は「アースデイ」や気候変動サミットなど一連の流れを経て、場所や規模を問わずどの企業も"あたりまえに"環境に配慮し、より漸進的な取り組みを期待されていると改めて感じた。わたしたちも、皆さんとともに学び続け、アクションを起こしていきたい、と認識を強めた一週間だった。では、また次のニュースレターにて、お会いしましょう。
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