🌎CO2を出しすぎな音楽ストリーミングサービス?
05/26 bility newsletter
bilityは、世界中のclimate techを中心とした事例やニュースを日本語でお届けするニュースレターです
🌎今日のニュースレターは…?
音楽ストリーミングが環境に悪い?(2min)
NASAの発明した電気飛行機で航空業界のネットゼロが大きく進展?(3min)
6月開催のG7サミットに向けて、今月20〜21日にG7気候・環境大臣会合が開催された。会合では「2030年代に電力システムを最大限に脱炭素化させる」ことで一致したが、G7の中で日本は石炭火力の電源比率が32%で最も高く、課題は多いだろう。
また、G7サミットで、各国は企業に対し気候変動の経営への影響について分析し、開示を要請する見通しだ。日本では東京証券取引所の主な上場企業2000社程度に要求する方向で調整している。
前回と同様、日本の気候変動にまつわる重要な動きを見つつ、世界のclimate techにまつわるアイディアも紹介していきたい。
📌もっとくわしく
🎶音楽ストリーミングが環境に悪い?
Spotifyのカーボンオフセット広告が話題に(2min)
■ Basically...
2019年の研究により、音楽ストリーミングが環境に及ぼす影響について指摘されるようになった。Spotifyでは、4月22日からSustainable Sonicというカーボンオフセットができる広告サービスを行なうとリリースを出した。
■ In detail
音楽業界が環境に与える影響について、CDなどに使うプラスチックの消費量は、2000年代の6100万kgから2016年時点で約800万kgに激減したと推定されており、一見すると音楽ストリーミングに移ったことは環境に良い印象を受けるかもしれない。しかし、実際のところ音楽ストリーミングの電力消費はCDのプラスチック消費よりも地球温暖化に悪影響を及ぼしているのだ。
上記の要因により、2000年代の音楽消費では約1億5700万キログラムの温室効果ガスが排出されていたが、現在では音楽ストリーミングで必要なエネルギーによって発生する温室効果ガスの量は2億〜3億5000万キログラムと推定されている。
これらの指摘を受けて、Spotifyは環境投資を強化するだけではなく、4月22日にSustainable Sonicという広告サービスをリリースした。
このサービスではブランドが音楽やPodcastの広告をSustainable Sonicにすると、その広告収入をForestCarbonという森林再生プロジェクトに当て、カーボンオフセットができるというものだ。アメリカ、カナダ、イギリスで導入され、将来的にはより多くの国に拡大していくという。
🎧 My recommended playlist 🎧
#PlaylistsForEarth
曲のタイトルをつなげて気候変動のメッセージを作るプレイリスト。Coldplayなど、有名なアーティストも参加している。
🛫NASAの発明した電気飛行機で航空業界のネットゼロが大きく進展?(3min)
■ Basically…
今後15年以内に実用化することを目標とし、NASAは現在「電気飛行機」を実現するためのバッテリーを開発中。様々な航空会社が2050年までのネットゼロ宣言を行っているが、これも現実味が増してきた。
■ In detail
みなさん最後に飛行機に乗ったのはいつのことだろうか?家族での海外旅行やビジネス出張。近年の格安航空の台頭もあり、飛行機は手軽で便利な移動手段の一つである。
だが、同時に飛行機は大量に二酸化炭素を排出し、気候変動を加速させている乗り物でもある。気温上昇を2度以内に抑えるためには2050年までに一人当たり年間でCo2排出量を2.1トン以下にする必要があるが、仮に成田からニューヨークまで往復移動をしたとすると、1.3トンもの二酸化炭素を排出してしまうことになる。一年間に排出可能な上限の半分近くを、一回の飛行機移動が占めることになるのである。
これを受け、多くの航空会社が2050年ネットゼロ宣言を行い、アクションを起こしていくことを約束しており、電気搭載飛行機への移行もその一つである。
この動きに対し高い壁になるのが、電気バッテリーの重量問題である。Guardianによると、現在の技術力ではジェット機と同じかそれより大きい充電池を搭載する必要があるという。自動車に比べ飛行機は機体の重量と揚力のバランスが鍵になってくるため、このアイデアは現実的ではないとされてきた。だが、NASAの技術力を駆使すると、少なくとも2030年には燃料と電気のハイブリット航空機が実用化されるという。
■ Our thoughts
現在、各国で二酸化炭素を大量に排出する飛行機での旅は辞めよう、という運動が起こっている。航空機利用によって温暖化を促進させてしまうことに対して罪悪感を抱くことを北欧では「Flygskam」、アメリカではFlight Shame(日本語では飛び恥と訳される)などと呼び、気候アクションのひとつとして航空機利用を見直す動きが出てきている。
といっても、地方に在住の方や、海外在住の方など、どうしても航空機を利用しなくてはいけないシーンは多く見られるだろう。(船や鉄道などでの移動なども可能ではあるが、1か月以上も移動にかかるとしたら一年間のほぼすべてが「移動」で終わりそうである。)そんな方は個人での二酸化炭素オフセットを行うのも一つの手法である。UNITED航空は航空機利用によって個人で排出した分の二酸化炭素を「帳消し」にできるプランを用意している。森林保全や植林など、効果は一定に留まるかもしれないが、何もアクションを起こさないよりは罪悪感も二酸化炭素も少なくなるだろう。
📚Editor’s Note
今回はみなさんも一度は使ったことがあるだろう、音楽ストリーミングサービスと飛行機のCO2排出量についてまとめたが、いかがだっただろうか?どちらも自分がかけている環境負荷が実感しずらいケースだったように思う。カーボンオフセットなど個人の取り組みから期待できるインパクトには限度があるが、利用者の多いSpotifyや航空会社がこのような取り組みを進めるとそれだけ効果も上がるだろう。とはいえ、非の打ちどころのないクライメイト・アクションの数はまだまだ少ない。それでも日本でのクライメイト・アクションを加速させてゆくには、このような取り組みをしっかりフィーチャーし、気候変動へ取り組もうという企業の姿勢そのものを賞賛していくことが大切なのかもしれない。
今週のbilityニュースレターはここでおしまい。では、またお会いしましょう。
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