🌎 グローバルブランドの生き残りをかけたサステナ取り組み
06/10 bility newsletter
bilityは、世界中のclimate techを中心とした事例やニュースを日本語でお届けするニュースレターです
🌎今日のニュースレターは…?
H&Mの環境負荷を可視化するスコアカード(2min)
The Body Shopが全商品をヴィーガンに(3min)
おはようございます。
今回のbilityニュースレターは気候変動領域で注目されたニュースのアップデートから。
ここ2週間でいくつかの企業の株主総会にて大きな意思決定が為されたようだ。
🐚シェル
オランダ裁判所は、シェルが気候変動に少なからず影響を与えているとし、2030年までに19年比で45%の二酸化炭素の排出量削減を求めた。環境運動家が訴訟によってエネルギー大手に戦略変更を迫る初めてのケースとなった。
⚡エクソン
「物言う株主」が、取締役2席を獲得。株主投票で会社推薦の現職取締役が再任を阻まれるのは異例であり、今後環境対策やガバナンス(企業統治)の改善で踏み込んだ対応を求められる。
🚙米シェブロン
株主総会にて、二酸化炭素の排出削減強化案を承認した。同社が発表した株主投票の暫定結果によると、同社製品を使用する他社の間接排出を対象とする「スコープ3」の削減案が61%の支持を得た。
📦アマゾン
株主総会で、35%の株主がシングルユース・プラスチックの使用を減らすため、現在の運用から生じているプラスチックの環境負荷を明らかにすることに賛成した。
このように脱炭素化にむけてシェアホルダーから企業へのプレッシャーが大きくなっている。大企業が気候変動への対策を講じることはもはや逃れられない選択になりそうだ。今回のニュースレターではみなさんも知っているような大手グローバル企業が行っている環境への配慮をご紹介していきたい。
👕H&M、環境負荷がわかるスコアカードを導入(2min)
■ Basically...
5月28日、サステナブル・アパレル連合がHiggと共同開発した環境負荷を可視化するスコアカード「Higg Index Sustainability Profile」をH&Mが一部商品に導入開始。2022年までにオンラインストアで順次導入予定。
■ In detail
HIGG Indexをもとに環境評価をするスコアカードの中でも、「Higg Index Sustainability Profile」は最新にリリースされたものだ。例えば、リサイクルコットンのTシャツと通常のコットンのTシャツを比較して、水の使用量、カーボンフットプリント、化石燃料の使用量、水質汚染などの項目について、従来の素材との比較を示す。
スコアカードでは、”baseline”(=従来の素材)から”レベル3”までの範囲となっており、レベル1~3は従来の素材よりも環境負荷の低い素材を使用した製品に用られる。H&Mでは、これまでに1以上のスコアを付けた製品が31点あるそうだ。今後1年半の間に、このスコアカードには、シャツやジーンズを製造する工場からの影響など、さらに多くのデータが追加される予定だ。現在、ヨーロッパやアメリカで導入されており、2022年までにオンラインで順次導入されいていく。
■ Our thoughts
スコアカードの”baseline”(=従来の素材)については疑問が残るところだ。業界でもどんどん従来の素材がアップデートされ、baselineは変化しつつある。今回の「Higg Index Sustainability Profile」は最新のものだが、常に最新のデータにアップデートされているのか監視する必要があるだろう。
🐝The Body Shopが100%ヴィーガン宣言で、
アクティビストブランドとしての地位をさらにリード(3min)
■ Basically…
ビューティーブランドのThe Body Shopが2023年までにすべての商品をヴィーガンにすることを発表。さらに、リフィルシステムを世界500店舗以上で実施する予定だという。
■ In detail
The Body Shopは1989年に動物実験に対するNOの声をあげて以来、アクティビスト・ブランドとして様々な行動を起こしてきたが、「動物への負荷を完全になくす今回の全商品ヴィーガン対応は決定的な一歩である」と企業担当者は言っている。
既に商品の60%がヴィーガン対応であったが、今まで非対応商品に使用されていた蜂蜜や蜜蠟などの畜産副産物が代替原料に変更される予定。「ヴィーガン対応」であるということは、The Vegan Societyの認証で保証される予定で、このロゴは生産者から卸売業者に至るまでのサプライチェーンに関わる人もヴィーガン・フレンドリーの基準を満たすことを意味する。
また、同社はサステナビリティに関する5か年計画の一つであるリフィルスキームを実装するため、今年中に500店舗、2022年に200店舗内で空の容器に商品を交換するリフィルサービスを順次開始することも明らかにした。18年にシンガポールに出店したサステナビリティをテーマとした店舗では、アップサイクリングのワークショップなどが行われていたが、再利用できる容器や詰め替え対応可能な容器の使用は今回の決定が初めて。このようなThe Body Shopの環境配慮やヴィーガン対応は業界をリードしているといっていいだろう。
■ Our thoughts
企業に求められる最初の一歩は、可能な限りヴィーガンや、オーガニックに対応することであろうが、このような世界に多くのユーザーを抱えるグローバル企業が100%のヴィーガン対応を約束したことは、ブランドとしての意思とそれを支える現代の消費者の購買行動の変化をうかがわせる。日本の大手美容ブランドでアニマル・フリーの商品はまだまだ少ない。ミレニアル世代やZ世代の「自分たちの価値観に基づいた購買行動」はどんどん拡大してきているといえるため日本のブランドがこのようなサステナビリティの領域に大きく参入するのも時間の問題かもしれない。
しかし、多くの「地球にやさしい」商品やヴィーガンプロダクトが、実はパーム油などの環境負荷が高いとされる原料を使用しているのもまた事実。そもそも商品の製造で全く環境に負荷をかけないことは不可能かもしれないが、企業がよりよいオプションを増やし、私たち消費者がしっかり選択することが重要であろう。
🍃日本で買えるヴィーガンコスメブランド9選 ーHappy Quinoa Vegan Media
📚Editor’s Note
今回はH&MやThe Body Shopなど、日本でも知名度の高い企業について取り上げた。身近な企業の前向きな変化を知っていると、自分が買い物をするときに立ち止まって考えるきっかけになるかもしれない。しかし、今回取り上げた内容を日本の大きな企業が取り組んでいるかというと、まだまだな現状…。H&Mのスコアカードもヨーロッパやアメリカにまず導入される予定で、日本での導入については言及されていないのは残念なところだ。
日本でも有名なThe Body Shopの思い切った取り組みが広がり、企業の環境への配慮が当たり前になることを期待したい。
About -bility
bilityは気候変動のソリューションとなるテクノロジー&アイディアに関する情報不足を解消するため、世界のClimate Techに関する先進事例やワクワクするような情報を集め、キュレーションしていきます。共に学び、考え、アクションの種を育てていく。これがbilityの目指すゴールです。
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