👕COP26とファッション
おはようございます!🌞
ひさしぶりのニュースレター配信ですが、みなさまお元気でしたか?
最近はめっきり冷え込んで、冬の本格的な寒さに怯えています。今日はクリスマス・イヴ!!🎄街が装飾やイルミネーションに彩られて、年末の気配を感じ浮足立っている方も多いのではないでしょうか?
そんな中、”史上最大”の竜巻が10日にアメリカ・ケンタッキー州で発生したことがニュースになりました。各地で甚大な被害が出ているなか、100人以上もの従業員がアマゾンの倉庫に取り残されていたとのこと。
気候変動によると思われる異常気象が増加していますが、「このように自分たちに被害者になるリスクも多分にあるんだ」と思うと少しは身近な問題だと感じられるかもしれないですね。(この一件はアマゾンの労働環境も問われてますが…👀)
そして、少し前にイギリスで大きな気候変動に関する会議・COP26が開催されていたのはご存知ですか…?COP26とは世界197か国が一同に会する年イチの国際会議のことですが、気候変動界隈をウォッチしている方にとっては「そんなの常識だろ?」かもしれないですね。今回はそんなCOP26について、COP26って何?という人から、今回の争点が気になる!な人まできっと楽しめる、『COP26特別号』をお届けします。
🌱今日のニュースレターは…?
COPバージンを乗り越えた、ファッション業界(7min)
気候変動は法律違反ってホント?(3min)
🌎COP26での、ファッションの役割って?
■ そもそもCOP26ってどんな会議?
世界197ヵ国が参加する、気候変動に関する年イチの会議。過去には京都議定書やパリ協定が発効され、気候変動に国家単位で立ち向かうため、温室効果ガスの削減目標などを定めた。
2021年は、英国グラスゴーにて26回目の会議が開催され、米国バイデン大統領、英国ボリス首相などを初めとする各国要人やIPCCレポート執筆を担当した識者たち、ビジネスリーダーたちが参加した。会議場外では、その様子を環境アクティビストなどが批判するデモ活動が頻繁に起こり、かなりアツい。また、参加者の観点では世界一の二酸化炭素排出量である、中国トップが参加しないのは気になるところ。(New York Times)
パリ協定以後、何度も話しあいが重ねられ、現状2.2度増加に抑えようという動きが見込まれている。とはいえ、IPCCレポートによると1.5度までの気温上昇に収めないとさらなる気候変動がハイスピードで起こってしまうのもまた事実!(New York Times)
■ 今回の争点2つ?
❔争点①:1.5度目標を達成できるような目標を各国が設定できるのか
ちなみに今は19世紀比で、1.1度の上昇が見られる
😲結果①
→1.5℃目標の重要性が「確認」され、各国が2030年までに達成する目標の見直しが強く求められた
❔争点②:中国がどのような反応をするのか(New York Times)
拡大するCO2排出量の裏には、製造業のシェア拡大による電力需要の増大が。電力不足や停電が石炭の使用に拍車をかけ、年6%の仕様増大をする見込みだと政府は言っている。
😲結果②
→◎ 米中が異例の共同宣言 気候変動対策で協力強化!(BBC)
■ COPバージンを乗り越えた、ファッション業界(New York Times)
過去のCOPでは、ファッションは気候変動に関する議論のテーブルから排除されていました。というのも、ファッションは気候変動関連の話題の中心だと認められてこなかったからです。
ところが、10年以上かかって状況は一変。今年は、金融界の大物たちがようやくCOPのテーブルについたことが話題になっていましたが、ファッション業界が存在感を示したのも今年が初めてです。Kelvingrove Art Galleryで「ファッションの未来」特別資料展を制作したStella McCartneyが言ったように、20年近くファッションが環境に与える影響を認めるよう働きかけてきた彼女は、「やっとCOPバージンを脱した」と表したそう(笑)
■ 特に注目したいポイント3つ!
①注目度が高い場所でのインスタレーション
Generation of Wasteというファッション集団が作成した、洋服の制作過程で発生する繊維廃棄物のバーチャート。これがブルーゾーンと呼ばれる、世界のリーダーがスピーチを行う場所のど真ん中に設置された!
②ファッション憲章を更新!
ラグジュアリーファッションの権威ともいえるLMVH(初!)を含む130社が、新しくなったファッション憲章に署名。2030年までの炭素排出量半減、2050年までの業界ネットゼロに向けて努力していくことを確認。
③NGOが環境により優しい素材を使ってほしいと提言
ファッションの世界標準を作ることに重点を置くNGOである、Textile Exchangeが各国政府への貿易政策要望書を提示した。これは50以上の企業に支持されており、「環境的にやさしい素材」を使う企業にインセンティブを与えるような関税や輸出入の仕組みを作ってほしいという内容。
■ bilityのひとこと
毎日身につける洋服は、人生レベルで考えるとかなりの消費量!だからこそ、気候変動の観点でファッションを考えることはとても重要。また、COP26のような国際会議の場でファッション産業のメインアクターたちが集まって対話を重ねることの価値ははかり知れません。
とはいえ、ファッション業界は季節ごとのコレクションに見られるように、新しいものを継続的につくり続けることが求められる業界。また、近年ではTikTokの影響も手伝って特定の商品の流行が急激かつ短期間に終わることも多いです。筆者もトレンディな新しい洋服を買っても、翌年の同シーズンには既に廃れていて気恥ずかしくなり着られなくなることもしばしば。このトピックについてbilityコミュニティで話してみると、ファッションを通じてアートを纏うという価値観を持つことが重要なのではないかという意見がでました。自分を表すようなデザインや自分の良さを引き立てるカット。つくった人たちの思いが詰まった一着は、もはやアートです。わたしたち消費者が、トレンドに振り回されない「お気に入りの一着」や「かっこいい自分で居るための一着」を大事に長く着ることが大切なのかもしれません。次洋服を買う時はこれはお気に入りの一着になりうるか、という視点で選んでみようかな。
さて、続いてあるシナリオを想像してみてください👀
ある人が別の人に被害を与えたとしましょう。この場合、法律によって裁かれますよね(理想的には)。では、政府が低いCO2削減目標を掲げた場合はどうでしょう?
(画像:WIRED JP)
CO2の増加は私たちに長期的な悪影響を与えてしまいますね💨
上記にも取り上げたような異常気象も温暖化により今後増えていき、それによる被害も拡大しています。直接的でなくとも、人類の暮らしが脅かされる原因となっているのです。その根源となる温室効果化ガスの削減を疎かにするということは、人々に被害を与えることになるのではないでしょうか?
🔥気候変動は法律違反ってホント?
■ひとことでいうと…
実際に法律を利用し、世界各地で環境活動家が政府や大企業を告訴し始めている。
■もっとくわしく!
(画像:NBC news)
ここ6年の気候変動に関する裁判は1980年代から2015年までの累計件数を軽く上回る数が審判されている。その中でも一段とメディアに取り上げられたケースは2015年オランダ政府のCO2削減目標に対する告訴。その時点で掲げられていた政府の目標は2020年までに(1990年の数値と比較し)14ー17%削減するというもの。裁判の結果、この数値は
「人々の安全と健康を守るという政府の役目を放棄している」
という理由で25%まであげるべきだと判決が下された!その結果、予定より早く発電所を閉場したり温暖化ガス削減対策がされ始めている。(bbc)
そのほかにも「BIG OIL/ビッグオイル(巨大な集団的経済的、社会的、政治的権力を持つ石油会社)」と呼ばれるRoyal Dutch Shell (ロイヤル・ダッチ・シェル)に対する告訴も勝利判決が下され、2030年までにバリューチェーンによる温暖化ガスの45%削減が命じられた。(日経)
(実際、問題はまだまだ山積み⛰で、ガスの大半を閉めるシェルの販売した石油による温暖化ガスはこの数値に含めることができなかったようです…😔)オランダだけではなくドイツやオーストラリアでの気候変動に関する告訴が増えているそう。(bbc)
(gif: GIFER)
■ bilityのひとこと
このニュースは環境活動やアクティビズムに関心のある読者のみなさまなら賛同する部分も多いのではないでしょうか?Vol. 13 のニュースレターでも取り上げたように、今のZ世代や環境活動家の間では気候不安を抱える人も少なくありません。気候変動という大規模な問題に立ち向かうため、活動したり、自分の生活を改めたりしていても直接的なインパクトが見えず、悪いニュースばかり入ってきてしまい、自分の無力さに落ち込んでしまう気候不安。bilityの仲間もそう感じてしまうことがあります😔
気候不安だけでなく、国家の環境保全に対するアジェンダの低さや、刻一刻と悪化している現状を無視している大企業に対する怒りをもつ若者も増えているようです。
そんな中、このようにして投票以外の方法で直接的に政府の掲げる目標に影響が与えられ、その目標を達成するためのアクションや国家予算にも影響を与えることができる活動は新たな光を与える存在ではないでしょうか✨今まで大企業や政府に対しては影響を与えることができない、と思ってしまっていた人も、アクティビズムの意義を見出すきっかけとなると良いですね。
もちろん法律に関する知識や、アクティビズムを引っ張っていく時間がない人も多いかと思いますが、こんな活動がある、ということを知り、理解しサポートすることも大事な活動の一貫です。金銭的なサポートだけでなく、シェアしたり、友人と話をするのも良いかもしれません♡
■日本での活動
Friends of Earth (Japan):今回紹介したシェルに対する告訴はオランダのFoEが先陣を切ってくれたおかげで実現したも同然!
Japan Beyond coal (ジャパンビヨンドコール):『2030年までに日本の石炭火力発電所をゼロに0しよう。」という目標を掲げて日本各地での石炭火力発電所の設立計画を阻止する動きをサポートしている団体。中でも横須賀石炭火力発電所訴訟が現在進行中の件。告訴件数とともに勝訴件数も増えています。その原因としてあげられるのは人々の意識が高まっていること、科学的に証明されているので裁判にて証拠として提示しやすくなっていることなどがあげられます。それに加えて、法律の反映のされ方も実は解釈によって時代と共に変わるもの、なので、環境に対する意識が高まると裁判官も法律を環境に配慮した解釈の仕方ができるのだそう🌱(bbc)