おはようございます🌞東京も雪が降り、久々の雪に喜ぶイヌを窓辺から見る日々を送っておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?日本の冬はなかなか厳しいですが、こたつを引っ張り出してきて家族と共に蜜柑を食べたり、同じ鍋をつつくことを正当化できる季節だ、という点では心を温めてくれる季節なのかもしれません。
さて、今回のニュースレターは、最近よく聞くサステナブルファッションについての事例を取り上げて、衣服が作られるまでの過程を透明化する方法や衣服を構成する新素材についてまとめてみました。
🌱今日のニュースレターは…?
食品表示のようなファッションラベル(5min)
きのこからできた布素材が流通間近!?(3min)
👕食品表示のようなファッションラベル(5min)
■ ひとことでいうと…
靴メーカーのNisolo社が「人」と「地球」の2分野のサステナビリティに関する情報をまとめたSustainability Facts Label を12月に発表した。独自の基準でつくられた認証が横行するファッション業界で、ブランドの透明性を増すのが目的だ。
■ もっとくわしく!
2021年、ファッション業界では間違いなく「サステナビリティ」の波が押し寄せた。具体的に言うと、服のラベル表示に消費者が製造過程を追跡できるデータが表示される技術が注目を集めた。例えば、ニットウェアを販売するSheep Inc.が製造したNFTタグだ。消費者は購入時にアプリを通じてウールセーターのサプライチェーンを追跡することができる。他にもProvenanceという英国スタートアップ企業が開発したのは、繊維がつくられる畑から衣服が完成するまでのサプライチェーンを追跡できるソフトフェアで、実際にデンマークのブランドGanniが採用している。
写真はProvenance社の社会や環境におけるインパクトが可視化されるツール, taken from here.
上記に述べたブランドやNisoloがサプライチェーンの情報を開示するシステムを整えるに至った背景として、ファッション業界が基準や認証に溢れていることが挙げられる。「食品業界が食品栄養表示をパッケージ裏につけているのに対して、ファッション業界にはそのようなものーあなたの買おうとしている服や靴がどのように成り立っているのか説明してくれる何かーは全く存在しなかったんです」とNisolo創立者のWoodyard氏は述べる。
写真はNisolo社の作成したSustainability Facts Label, taken from here.
約200もの情報を統合しているこのファッションラベル。各カテゴリの内訳はそれぞれ100%単位で測定され、Nisolo社の商品も全てがA評価でないという。Woodyard氏は「Cのような低評価を取った商品もあります。しかし、私たちはできるだけ透明性を高めようとしており、それはたとえ低評価を取ったとしてもそれを公開していくことを意味しています」と説明している。
(Forbes)
■ bilityのひとこと
ファッション業界(特にファストファッション)についてはコミュニティ内で数々の議論を重ねてきました。縫製向上を含む商業ビルが倒壊し多くの死傷者を出した「ラナ・プラザ事件」に見られるように、自分が手に取る洋服の価格が実現される裏でどのようなことが起こっているか想像したことはありますか?劣悪な労働環境での就労。労働時間に見合わない低報酬。環境の過度な搾取。様々な問題が起こっている可能性があるにも関わらず、私たちの目に映るのは色とりどりのトレンドな服に加工された後の綺麗なパッケージのみ。このような環境だと、背後に潜む問題点に目を向ける機会に恵まれず、トレンドを追いかけてしまうだけになるのも頷けます。(筆者もそうでした…が、今は下着以外ほぼ古着を買うようにしています。ただ古着屋さんでZARAやGAPに出くわすことも少なくない…ファストファッションの拡がりを感じます。)
しかし、このようなNFT技術を使用したラベルの普及が進むと、どのような過程をたどって服が製造されるに至ったのか、というサプライチェーンの道筋がオープンになります。このラベルがあることで主体的な買い物もずっと楽になりそうですね。自分が支持するものに意識的にお金を使っていく。これが企業を応援する一番の意思表示になるのではないかと感じました。
しかし、ここで一番の障壁になりうるのはその普及度。記事の中にもあったようにファッション業界は統一された認証や基準が存在しないので、情報を整理して「良い商品かどうか」の見極めが大変難しいです。ここは食品栄養表示のように、法律による義務付けが進んでいくことが鍵になりそうです。
🍄きのこからできた布素材が流通間近!?(3min)
■ ひとことでいうと…
MycoWorksが1億2500万円の調達をし、マッシュルームから出来ているサステナブルな布素材を大量につくれるように!
■ もっとくわしく!
カリフォルニア州エメリービルにある小さな工場では、おがくずを詰めたトレーの中で、バイオマテリアル新興企業のマイコワークスが菌糸体(キノコの根のような部分)を培養し、牛から作った革のような見た目、感触、曲がる素材を密に重ねて作っています。昨年から稼働しているパイロットプラントでは、この素材を少量しか生産できません。しかし、同社はシリーズCで1億2500万ドルを調達したばかりで、この資金を元にサウスカロライナ州に大量生産設備を建設する予定を立てました。
エルメスをはじめをする多くのファッションブランドも、プラスチック製の合成皮革に頼らずに、動物性皮革につきものの環境問題や倫理問題を回避する材料としてキノコを採用しているそう!今までのオルタナティブ・レザーにはプラスチックが必ずと言っていいほど含まれていましたが、MycoWordsの製品は100%菌糸で構成されているのです。「高品質の動物性レザーと同等のコスト競争力があり、規模を拡大すれば、より低価格の大衆向け製品をリリースすることができる」と同社CEOのスカーリン氏は述べている。(FASTCOMPANY)
■ bilityのひとこと
色々なサステナブルな繊維素材が出てきていますが、実際に私たちが普段の生活で手に取る洋服につかわれて初めてインパクトが出るものです。では一体どのように広範囲の普及に結び付けられるのでしょうか?
bilityメンバーと話し合う中で、まずは高級ブランドが率先して採用することが重要という意見が出ました。高級ブランドなら「良い素材を使った高品質の服をある程度の高値で販売する」ことが期待されています。なので、価格が多少高くても顧客は着くはず。さらに、高級ブランドが顧客のために100%デザイナーズで制作する衣服・オートクチュールの制作も可能になります。実際にオートクチュールにはサステナブルの波が来ているそう。年に2度あるコレクションの発表でも、このような先進的なサステナブル素材を採用し、時代をつくっていってほしいですね😉
また、サステナブルなファッションアイコンが増えていくことも重要です。実際にビリー・アイリッシュがMETガラのドレス着用の条件としてブランドに「リアルファーの廃止」を要求したり、ベラ・ハディットが私生活で身に着けている洋服がサステナブルブランドであることも話題になりました。特に、欧州在住メンバーは「友人間でも自慢の仕方が変わってきている」と話していたことが印象的でした。今まではトレンドを如何に取り入れているかが重要でしたが、サステナブルな物を身に着けることが「かっこいい」「イマドキ」と言われているそうなんです。bility Newsletterを読んでくださっている読者のあなたがサステナブルなピースを身に着け、「これがおしゃれだ!」と周りにコミュニケーションしていくことも地道ですが、一番インパクトがあることかもしれないですね🌷