🔥地球が燃えている|IPCCレポートレビュー
bility newsletter vol.11
08/19 bility newsletter
🌱今日のニュースレターは…?
IPCCレポートが、「人間が気候変動を引き起こした」と断言(4min)
海岸のマイクロプラスチックを回収するクリーンなロボット(3min)
おはようございます🌞
海外のニュースサイトを見ているとギリシャの熱波による山火事に関する記事がトップになっていました。実は、この熱波の影響でイタリアでは半日で森林火災が500件にも及んでいます。6月にカナダでも熱波の被害が話題になっていましたが、熱波の甚大な影響はこのままだと増える予測です。
「言われてみれば、最近は昔より暑い気がするなあ」と思ったあなた!大正解!😌米海洋大気局によると、今年7月の世界平均気温は過去142年間でもっとも高い暑い月とのこと。このまま温暖化が進んだらどうなるのか……先行きが気になるところですが、先日、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がレポートを発表しました。
今回は気になるその中身を紹介します!(いつも通り、その後に事例も紹介していますよ。)
■basically
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が7年ぶりにレポートを発行。気候変動が人為的に引き起こされた現象の可能性が高いと結論づけた。
■ In detail
IPCCは気候変動について調査するUNのリサーチグループ。ワーキンググループは全部で3種類あり、今回のレポートは気候システムについての調査を担当しているWG1から発行されたもの。気候変動が生態系にもたらすインパクトやそれの対策については2022年に追って公開される予定だ。
👓抑えておくべき5つのポイント👓
気候変動は、間違いなく人為的に引き起こされた事象である
気候変動は、既に世界中のすべての地域に影響を及ぼしている
温室効果ガスを大幅に減少しない限り、パリ協定で定められた1.5~2度目標は達成されない。このままいくと10年が限度。
気候変動の直接的影響は温暖化よりも深刻である
前回のレポートと比較して、気候感度(Climate Sensitivity)における知見が増え、将来のシナリオ予測の精度が向上した
5-1) CO2の排出量が倍増すると→気温は3度上昇する
5-2) 地球の気温が1.1度上昇しているが、その内の0.3度はメタンが原因
このレポートは、今まで指摘されてきた気候変動の深刻さを裏付ける証拠を付与し、「間違いなく人為性がある」と断言された点で重要。前回のレポートが2015年末のパリ協定に至る土台となったことから、今回のIPCCレポートも11月に開催される予定のCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)の土台資料となる予定だ。
■Our thoughts
今回のIPCCレポートは、気候変動領域では大ニュースでした!New York TimesやGuardiansなどの海外大手メディアはこぞって報じていたし、多くの批評家がOpinion記事を寄稿していました。SNSでも広く拡散されていたから、目にした人も多かったかもしれませんね。
本来、IPCCレポートは国会や国際会議にて気候変動政策について議論・決議する際に根拠として使用される権威あるデータのひとつ。いわゆる省庁が出しているPDFにまとめられたとんでもなく長い報告書みたいな位置づけです。そのようなある種”お堅い報告書”が話題になったこと自体、数年前にはありえなかったことだろうと思います。少なくとも私自身は今までIPCCなんて言葉を聞いたこともなかったし、それがどのような意義を持つかなども知らなかった…改めて、気候変動が社会の中で重要アジェンダとして認識され始めている兆しを実感しました👏
しかし、海外へ目を向けてみると、IPCCへの論調においてかなりの違いがみられます。例えば日経新聞では、このような記事のタイトルが付けられています。
上記のように、日本はIPCCの調査を客観的に見ているメディアが一般的。それに対して、海外メディアはIPCCレポートの意義を認めつつも、批判的に見ている記事が散見されます。
このように、「気候変動が深刻なことなんて周知の事実だけど、今更そんなこと言ってるの?」と、なんともクリティカルな目線。こんなに差がでるものなんですね。
とはいえ。気候変動の人為性を否定する科学的データを持って、気候変動アジェンダの優位性に疑問を投げかけている(もしくは気候変動の存在自体を否定している)人がいる中、「でもやっぱりすぐに手を付けないと、取り返しがつかない事態を招く喫緊の課題だよね!」と自分を奮い立たせることのできる、私にとっては勇気がつまったレポートでした。でも、重要なのはここからどんな政策や国際条約の批准が為されるか。私たちの関心の大きさが政策にも確実に影響するので、その後の動向も要チェックですね😉
■ Basically
4ocean社が開発した海岸のマイクロプラスチックを回収する「BeBot」というロボット。今までのマイクロプラスチックを回収する機械と異なり、ソーラーパネルで動くクリーンなロボットであるのがポイントだ。
■ In detail
マイクロプラスチック とは、直径5ミリほメートル以下の小さなプラスチックのこと。歯磨き粉や洗顔料に使われるスクラブや、ポイ捨てされたゴミが海に流れ、波や紫外線で壊されて小さくなったものだ。マイクロプラスチックの問題点は、”小さすぎる”ということ。なかなか手作業で回収することは難しい。
この「BeBot」というロボットは、マイクロプラスチック回収専用のロボットで、海岸の表面を往復して砂の表層をふるいにかける。
従来、海岸の清掃には、ディーゼルエンジンを搭載したトラクターや、砂の中のプラスチックを吸い取る巨大なバキュームなどの大型機器が使用されてきた。しかし、「BeBot」はソーラーパネルに接続されたバッテリーで作動する。より静かで、はるかに小さいため、野生動物や海水浴客に迷惑をかける可能性が低いところも特徴の1つだ。
1時間ごとにサッカー場の5分の3ほどの広さを往復しながら、砂の上層部をスクリーンでふるい、古いパッケージの破片やタバコの吸殻など、1cm四方以上のものを回収する。機械がいっぱいになったら、貝殻や小石など機械の選別が難しいものは手作業で行う。(時間はかかるが、最初から手作業で行うよりかはずっと早い。)
4ocean社は、ハワイでこのロボットのテストを始めている。ハワイのビーチは、地球上で最もプラスチックに汚染されている場所といわれている。清掃活動のためにフルタイムのスタッフを雇っている同社では、ペットボトルなどの大きなゴミは引き続き手作業で回収しつつ、ロボットも使用する方針だ。(出典:FastCompany)
■ Our thoughts
この記事を読んで、コロナが流行する以前、夏の海岸やイベント会場で清掃ボランティアをしたことを思い出しました。実感したのは、本当に小さいゴミは人の手では回収しきれないということ。数時間の清掃作業であったし、当たり前のように感じるかもしれないですが、全て人が捨てたものなはずなのに人の手で拾いきれないほど際限のない小さなゴミが自分の目前に広がっている…あの光景は思い出すだけでゾッとします。
今回のロボットはただ回収するだけではなく、機能的でクリーンエネルギーを使われている点が良いと思い紹介しました。このようなロボットが世界的に広がれば、人間の際限のない負債を返済できるかもしれない、そんな未来がきてほしいです。
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bilityは気候変動のソリューションとなるテクノロジー&アイディアに関する日本語での情報不足を感じたことから立ち上がったメディア。世界のClimate Techに関する先進事例やワクワクするような情報をキュレーションしています。共に学び、考え、アクションの種を育てていく。これがbilityの目指すゴールです。